ボトックス治療
歯ぎしりや食いしばりが原因で顎関節や歯に過度な負担がかかると、顎関節症や歯の摩耗などの問題が起こりやすくなります。
これらの症状は、就寝時や集中している時に無意識に起こるため、意識だけで噛む力をコントロールするのは難しい場合があります。
そこで当院では、ボトックス注射を活用し、必要以上に強くなりがちな咬筋（こうきん）の緊張を緩和して、噛む力を適切に抑える治療を行っています。
噛み合わせや顎関節症の治療と組み合わせることで、日常生活の快適さを取り戻すサポートをしています。
ボトックスとは
ボトックスとは、ボツリヌス菌がつくり出すたんぱく質を利用し、筋肉の動きを一時的に抑制する薬剤です。
美容医療の分野では表情ジワの改善などで広く用いられていますが、歯科領域では噛む力をコントロールし、歯ぎしりや食いしばりによる過度な力を軽減する目的で使用します。
適切な部位に少量を注入するだけで、筋肉の過度な緊張を和らげ、顎関節や歯への負担を減らすことが可能です。
歯ぎしりや食いしばりのリスク
顎関節への負担
強い力で長時間食いしばる習慣があると、顎関節に負担がかかりやすくなります。
顎関節症につながり、あごの痛みや開口障害、カクカク音などの症状が出て日常生活に支障をきたす場合があります。
歯の摩耗や破折
歯ぎしりが酷い方は、歯の表面がすり減って象牙質が露出したり、歯の根元が欠けるなどのトラブルが増えます。
これにより知覚過敏が起きやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
肩こりや頭痛
上下の歯を強く噛みしめると、首や肩の筋肉が緊張しやすく、慢性的な肩こりや頭痛につながることがあります。
ストレスや疲労が強い方には、無意識のうちに食いしばりの癖が出ていることが多いです。
ボトックス治療のメリット
過剰な咬筋の活動を低減
ボトックスを咬筋に注入すると、筋肉の緊張が和らぎ、無意識にかけていた大きな噛む力が緩和されます。
歯ぎしりや食いしばりの影響で生じる顎関節の痛みや歯のダメージを軽減できる可能性があります。
体への負担を抑えた治療
ボトックス注射は外科的手術を伴わず、比較的短時間で施術が行いやすいです。
注射用の細い針を用いるため、痛みや腫れが大きい処置ではありません。
術後のダウンタイムも短く、日常生活への復帰が早いです。。
顔貌への良い影響
咬筋が過度に発達している方は、エラが張った印象になりやすいです。
ボトックスによって咬筋の厚みが抑えられると、見た目がすっきりする効果を感じる方もいます。
ただし、あくまで噛み合わせや顎関節の治療を主目的とした応用であり、美容効果は副次的なものです。
当院の治療方針
顎関節症と組み合わせた包括的治療
顎関節治療ページ（リンク）へ誘導しながら、筋肉だけでなく歯列や顎関節の状態を総合的に判断し、根本的な改善を目指します。
精密な診断と注入部位の選定
当院では噛み合わせの検査や触診などを通じて、咬筋がどれだけ発達しているかを把握し、注入ポイントを細かく見極めます。
必要な量を少しずつ注入して、筋肉が自然に緩むように配慮しています。
安全管理とアフターフォロー
当院では処置後のフォローを大切にし、気になる症状があればすぐに相談いただける体制を整えています。
定期的に通院し、噛み合わせの変化や筋肉の回復度合いをチェックすることで、必要があれば追加の注入や他の処置を検討します。
ボトックス治療の流れ
1. カウンセリングと検査
噛み合わせや顎関節の診察を行い、筋肉の張り具合やエラの張りの程度も確認します。
2. 治療計画の策定
注射のみで対応する場合は、施術回数や注入ポイント、費用などを説明します。
3. 注射の施術
針は非常に細いものを使用するため、痛みはごく軽度です。
手術のような大掛かりな準備は不要で、施術は短時間で終了します。
4. 経過観察
数か月から半年程度で効果が徐々に薄れるため、噛み合わせの状態を見ながら追加の注射を行うか検討します。
顎関節症の症状や肩こりなどの改善度合いも合わせてモニタリングします。
注意点
個人差はありますが、ボトックスの効果は3～6か月ほどで徐々に弱まります。
歯ぎしりが強い方は、定期的な注射が必要になる場合があります。
・妊娠中や特定の持病がある方
事前に医師と相談して安全性を確認してください。
・無理に噛み合わせを変えない
筋力を急激に抑えすぎると、咀しゃくや発音に影響が出る場合があるため、適切な量を見極めることが大切です。
こんな方におすすめ
- 歯ぎしりや食いしばりが原因で歯がすり減っている方
- 顎関節症と診断され、顎の痛みや開口障害に悩んでいる方
- エラが張っていて顎の筋肉が発達している方
- ストレスでつい噛みしめてしまい、頭痛や肩こりが続いている方
ストレス軽減と生活習慣の見直し
ボトックス治療は噛む力を一時的にコントロールするもので、根本原因がストレスや生活習慣にある場合は同時に改善を図る必要があります。
姿勢や仕事環境の調整、リラクゼーションを取り入れるなど、生活全般を見直すことで、より長期的な症状の緩和が期待できます。
噛み合わせや顎関節症のページと合わせて読んでいただくと、より具体的な治療イメージをつかみやすくなります。
当院では筋肉や顎関節、歯列を総合的に診断し、患者様が笑顔で食事と会話を楽しめるようにサポートいたします。
歯ぎしりや食いしばり、顎まわりの悩みを解決したい方は、お気軽にご相談ください。
